個人開発で計画は必要か(5) -- 必要だ😎
個人開発者の定番の悩みのためか、かなり情報が豊富でした😄
文献30冊+webページ100程度を参考にまとめます。
結論
個人開発で計画は必要。
「行き当たりばったり」や「運まかせ」よりは、計画を立てたほうが、目的に達する成功率が高まるため。
- 個人開発は極限まで人的資源が限られた開発なので、タスクの優先度決めが大切。計画を立てて全体を俯瞰することで何を最も優先すべきかを判断できる。
- 「自分は計画通りに進められる」というコントロール感があると、自信やモチベーションの維持につながる。
- 計画を立てることで、以前の良くなかった点やボトルネックを改善し、良かった点は継続して、より良く次の計画を推進できるようになる。
詳細
1.個人開発へプロジェクトマネジメント(PM)を適用すべきか
- 適用すべき
2. 組織PMと個人PMの違いは何か
- ほとんど共通。
- 個人PMにはチームワーク関連の技術が不要。その代わりに、自己動機づけの技術が入る。
- 自己動機づけ:やる気の出し方。モチベーション維持の仕方。誘因。言い回しは色々ある。
3. 自己動機づけについて
- 個人開発の最大のポイントは自己動機づけができるかどうか
- モチベーションが無くなった瞬間にプロジェクトは終了する
- ゲーム開発者の地図: 20年の個人開発から学んだことでは、モチベーションがいつ尽きても完成できるように制作行程を工夫している
- 「今日もやらなきゃ…」の状態になっていると終りが近い。仕切り直しが必要。
- エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にするによると「今日はこれをやる」という自ら選び取るような心持ちであるべき
- モチベーションが無くなった瞬間にプロジェクトは終了する
- モチベーションを維持する方法
- 様々な研究がされている。個々の掘り下げが弱いが、入社10年分のリーダー学が3時間で学べるの5章が網羅的に記載してある。
- small-winは多くの本で紹介されている
- 大きな目標を小さい目標に分解して、小さい目標を達成していくという方法。
- 達成ごとに「自分はできる」という感情(自己効力感)が高まり、モチベーションが湧く。
- 小さい目標の難易度が「50%で成功するかも」という設定だと最大限にやる気が出るという研究結果がある(マクレランド氏)
- 小さい目標の達成時点でユーザーの反応を見る。喜んでもらうとかなり元気が出る😉
- 目標を達成したときを想像するのもモチベーションにつながる
- 個人によって異なる。
- 友人に見せたら大爆笑。ソフトが爆流行!ユーザーがノリノリでプレイ動画を配信。N億円で大企業に売却…等、楽しいイメージなんでも😸
- 他者への貢献感があるような目標設定は長期的にもかなり強いモチベーションとなる
- 個人によって異なる。
- 逆にモチベーションが一気に萎えるようなこともある
- 個人によって異なる。意識して避けたい。
- やらされ感を感じると危険信号。
- やる気無くすようなユーザーの意見を取り入れるぐらいなら、そもそも聞かないという問題
- ニーズを満たすべき人の意見は取り入れるべきという論もあり、非常にバランスが難しい
- 月間2億PVの個人開発者の主張は以下
- 個人によって異なる。意識して避けたい。
サービス運営者はもらった意見に対して「取り入れない」という選択を常に持つべきです
— せせり 26歳 (質問箱を作った人 (@_sesere) 2017年12月12日
例えばすごく多くもらった意見で「画像だと鬱陶しいからテキストにして」「フォントがダサい」「過去の履歴を見れるようにして」「登録しないと質問できないようにして」などがありますがそれask.fmです
4.個人開発PMで使うと良さそうなツール
- プロジェクトチャーター
- 目標を明文化してみて「ニーズが何か、何を満たすのか」を説明する
- エレベーターピッチでもいい。いろんな言い回しがある。
- ニーズを埋める対象へ分かりやすく納得できる内容になっていることが大切
- ニーズは自分のニーズを満たすでも良い。自分と同じニーズを持つ人は必ずいるから(その人に届くかは別な話だが…)
- 数字目標を設定する。無限に開発規模が広がるのを抑える。
- 「プロジェクトに終わりが無い」というイメージはマンネリ感・やらされ感が生まれる
- プロセスフローダイアグラム(PFD)
- 成果物から逆算して手順を書き出すだけ。簡単。
- 個人開発者はほとんど無意識にやってるような内容
- 成果物から逆算して手順を書き出すだけ。簡単。
- モニタリングシート
- 計画は必ず予定通りに行かない。予定(見積もり)と実績を観察し、計画を修正する。
- 予定と実績それと予備時間(バッファ)で管理できるものであれば、TODOリストを拡張したものでも何でも良い。
- 管理が非常にめんどくさいが、やれば大きすぎるタスクで潰れてしまう等の落とし穴を避けることができる。
- ツールにまかせて最小限の労力で実施したい
- 見積もりはやっていくとだんだん正確になる
- タスクの見積もりは正確にして、予備時間を入れないのがポイント。
- 予備時間を含めるとパーキンソンの法則に囚われて、予備時間が必ず食いつぶされる。
- パーキンソンの法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
- 予備時間はバッファとして1つのカタマリで管理する。使った分のバッファを減らす。
- モダンな進捗管理法はバッファを持たせている。マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門 impress QuickBooksが分かりやすかったが、大抵のPM本にはバッファについての記述があるだろう。
- バッファの消化率がタスクの消化率を上回ると危険信号。計画の見直しが必要という使い方もできる。
- 予備時間を含めるとパーキンソンの法則に囚われて、予備時間が必ず食いつぶされる。
- 計画は必ず予定通りに行かない。予定(見積もり)と実績を観察し、計画を修正する。
- KPT(KeepProbremTry)による振り返り
- 個人開発で振り返りは「嬉しかったり」「悲しかったり」して感情に振り回されてやりにくい。しかし、1行でもコメント残しておくと次回以降に生きてくる。
- 振り返りの資料は1箇所にまとめて散逸しないようにする。
- 1行以上頑張れるなら「よかったこと、続けたいこと」「問題点・改善したいこと」「やってみたいこと」のKPTを実施。
- 個人開発で振り返りは「嬉しかったり」「悲しかったり」して感情に振り回されてやりにくい。しかし、1行でもコメント残しておくと次回以降に生きてくる。
5.ぐだぐだ色々な技術があってやってられねーよ。コーディングはいつだよ。
全く同意する。
- パーソナルプロジェクトマネジメント 増補改訂版より
パーソナルプロジェクトマネジメントを何事にも使うべしというつもりは毛頭ありません。 ただ、プロジェクトをこなすために世界のPM関係者が蓄積してきた知恵があるのですから、それを利用しない手はないでしょう、と申し上げたいのです。
- パーソナルプロジェクトマネジメント 増補改訂版より
具体的な進め方について
- 最近の記事では個人開発における開発プロセスを公開してみる - Qiitaが読みやすくよくまとまっている
完璧なコーディングより、汚くて素早いリリースが逆に目標達成への近道という論は多い
- 何処かで見たコトバ
完全な設計を待つより、顧客に謝るほうが早い
- 侘び石PM法かな…恐ろしい
- 何処かで見たコトバ
6.オススメの本
- PM本は本屋で読みやすそうな本を選ぶ
- 自己動機づけ・やる気などについては、売れ筋のエッセンシャル思考本が良いと感じる
- 作者: グレッグマキューン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2014/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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調査で調べられなかったこと
終わりに
「やる気がないと何も始まらない。」全くその通り。
今回の調査で、モチベーションについて論じた文献がかなり多く、研究自体も盛んなことが分かった。
「とにかく完成するまでは必死で取り組め、出来ないのは根性が足らないせいだ。本気で目標を達成したくなかったからだ」
という根性論の世界からドロップアウトした凡人としては、この研究の成果は大いに勇気づけられる。
ものごとを失敗をするために始める人はいない。
個人開発の成功確率を上げるためにはできる範囲で有効な技術はなんでも利用していくべきだろう。